財団法人 日本クリスチャンアカデミー
   
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機関紙「はなしあい」
 

第458号 2004年10月号

 
[主な内容]
 
特集:アカデミーと労働者教育 竹中 正夫
特集:クリエイティブリーダーの史的役割 中條 毅
特集:IMF-JCと明治学院大学との提携によるリーダーシップ・コースについて
金井 信一郎
「プログラム案内」他

 

アカデミーと労働者教育 / 竹中 正夫(財団顧問)

 
去る九月三日、IMF‐JC(全日本金属産業労働組合協議会―金属労協)は東京プリンスホテルで第四三回定期大会を開き、つづいて結成四〇周年を祝して記念式典を行った。その際JCは、労働者教育に貢献した二つの団体と三人の個人の功績を記念して功労賞を贈った。団体の部では、明治学院大学と同志社大学、個人の部では、東日本労働リーダーシップコースの設立に尽力した元明治学院大学長、金井信一郎氏、西日本労働リーダーシップコースで一九八三年以来、運営委員長をつとめている同志社大学名誉教授の中條毅氏、第一回から三五年にわたって校長をつとめた竹中正夫の三人であった。
 
 どういうわけか会場となったホテルの部屋にプロビデンスホールという名がついていた。それは「恩寵」という意味である。わたしは、アカデミーとJCの労働者教育の関係を考えてプロビデンシャルな縁(えにし)を感ぜずにはおられなかった。
 いまからちょうど五〇年前、一九五四年の夏、シカゴの郊外のエヴァンストンでWCC(世界教会協議会)の第二回大会が開かれており、金井信一郎氏も私も参加していた。金井氏はウィスコンシン大学で労使関係についての研鑽を了え、私はイェール大学で社会倫理学を学んで帰国の途にあった。お互いに戦争中の体験を語りあったり、生き残った者として、日本に帰ったら何をすべきか抱負を語り合った。金井さんはウィスコンシン大学の経験から日本で大学と提携した労働者教育を推進したいとのべ、わたしもそれに共鳴するところがあった。帰国後わたしたちは期せずしてアカデミーの運動に携るようになり、大磯で野総評議長を招いて労組指導者の協議会を開催、私は常任理事として隅谷三喜男氏や藤田若雄氏を招いて話し合いの会合をもったりした。
 
 その後一九六四年、明治学院の卒業生である瀬戸一郎氏などの並々ならぬ尽力でJCが結成され、労組幹部の教育を推進することになり、一九六七年から明治学院大学産業経済研究所と提携してIMFJCの労働リーダーシップコースが開催されるようになった。一九六九年春、金井さん、瀬戸さんは当時のJC議長であった福間さんとともに関西セミナーハウスに来られ、西日本労働リーダーシップコースの開校を懇請された。当時は大学紛争の最中であり大学を会場とすることはできないので、関西セミナーハウスで三週間合宿形式のコースを開くことになった。西欧では指導者教育はカレッジという学寮で全人格的人間教育を通して行われてきた。わが国でも松下村塾のように共同生活による塾によって行われ、それが戦前の旧制高校の寮生活に受け継がれていた。しかし、戦後は日本の大学で寮生活は成りたたなくなり、特定のグループやイデオロギーによる集団化か個人主義化したアパートになって了った。こうした点から三週間泊り込みの教育をすることは、思い切った考えであったが、一種の冒険でもあった。これが成果を収め今日まで続けられていることは、受講生たちの自主性の賜物であるが、もう一つ感謝しなければならないことは、関西セミナーハウスの歴代所長、担当主事をはじめスタッフの方々の並々ならぬ尽力のあったことである。三五年にわたって毎年一月には一つの緊張感を持って関西セミナーハウスをあげてJCのリーダーシップコースに取り組んでこられたことは、大きな功績であった。関東でも合宿形式が評価され、一週間大磯アカデミーハウスに赴いて尾崎憲治所長の指導の下に合宿がなされ、JCの人はいまだにその働きに感謝している。カリキュラムは毎回関西セミナーハウスの運営委員会で練り同志社大学を中心に、主として関西地区の大学の教授たちを講師とし、同志社大学の学長、総長には名誉校長となっていただいた。カリキュラムは、@タテと称する歴史的認識、Aヨコと称する国際関係、B場という労使関係の現場、そしてC深さを意味する人間のこころ(宗教、哲学、心理)の課題を学ぶようにつとめた。さらに、第一回から今日まで続けられたのは、代表的な経営者を招いて記念講演がもたれたことである。松下幸之助(第一回)、日向方齊(第五回)、亀井正夫(第十四回)、井植敏(第三四回)、辻晴雄(第三五回)の諸氏が「経営と人間」のタイトルで自らの体験を通して講演をされた。これは、労働組合の指導者と経営者が「イエス」「ノー」をユーモアを以って語り合うパートナーであることを象徴していた。
 
 JCは一九九七年から両コースの改革を検討し、東日本コースは上級コースとして金属労協の政策づくりを推進する人材養成を目指し、西日本コースは、従来どおり三週間の合宿制を継承し「IMF・JC労働リーダーシップコース」として開催してゆくことになった。ちなみに現在までの修了生は、東日本コース九三五人、西日本コース一一七六人、合計二一一一人を数え、これらの人々の多くは、日本の労働界や社会、政治の領域で貴重な働きをしている。今回JC議長になった電機連合委員長の古賀伸明氏は西日本コースの第一五回の卒業生である。
 つづいてもたれた記念講演で私は「労働組合指導者に期待するもの」と題して、先の四つの柱に照らしてこの時代における労働組合の指導者の心がまえについて語り、労組指導者が一つの天職観(ベルーフ)をもってその使命に当るべきことを述べた。
 


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