財団法人 日本クリスチャンアカデミー
   
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機関紙「はなしあい」
 
第462号 2005年3月号

 
[主な内容]
 
関東活動センター:ブッシュのアメリカとキリスト教 森 孝一

 
*関西セミナーハウス活動センタープログラム報告
第36回IMF-JC労働リーダーシップコース
1月12日(水)〜29日(土)
 
*財団報告
●2005年度 事業計画・収支予算等決まる
―理事会・評議員会開催―
 
■関西セミナーハウス
「葦葺門」改修完成 退任のご挨拶「新しい現場を求めて」 井上勇一 他
 
 

 

 
ブッシュのアメリカとキリスト教
〜なぜモラルを強調し戦争を行うか?〜
 
森 孝一(同志社大学神学部教授)

 
 大統領選挙に宗教がどう関わっていたのだろうか。今日のアメリカを考えるときに教派の違いをみていてはわからない。アメリカのキリスト教は、保守派とリベラル派に二分されている。また、パラチャーチとよばれる宗教右派がそれぞれの教会を串刺しにするように超横断している。かつてアメリカを二分していたのは、人種や貧富の差であるが、現在、価値観や物の考え方・捉え方によって分かれている。最大の争点は人工妊娠中絶と同性愛結婚の合法化である。この国内問題のみならず、国際問題についても二つのグループは二つの立場を代表する。保守派は一国主義、リベラル派は国際協調主義である。ギャラップ調査によると、有権者の一五%は、道徳や宗教的・信仰的理由でブッシュを支持する。一方、ケリー支持の理由としてはブッシュへの不満が多数を占めている。
 
 ブッシュ大統領の危機はアブグレイブ収容所での虐待事件だった。この時、イラク戦争の大義が根底から揺らいだ。大義の一つ目は、第二の「九・一一」への恐怖感。アメリカ本土が戦場になることを防ぐ先制攻撃の考え。二つ目は、イラクへの攻撃を正当化するための「全体主義との戦い」の論理である。これは建国の理念までさかのぼる、世界に対するアメリカの使命であると考えている。

  アブグレイブ収容所での虐待事件により、弁解の余地がなくなったブッシュの危機に際し、ケリーは戦時下という状況の中で批判できなかった。一方、ブッシュの「追い風」として、マサチューセッツ州(ケリーの州)での同性愛婚の合法化があった。
 
  ここでアメリカ世論の中道(穏健な福音派)について、民主党と共和党の読みの違いが起こった。穏健な福音派の人々は、ブッシュのイラク戦争を全面的に支持してはいない。しかし、中絶問題、同性愛結婚の合法化には一致して反対している。ブッシュは憲法に、結婚は男女によってなされるべきであるという項目を書き加えることを主張した。しかし、ケリーは、はっきり主張できなかった。なぜなら、同性愛支持者や中絶の自由を認める人々が、ケリー支持の有力なグループだったからである。ケリーは、個人的には反対、しかし憲法で定めるべきでない、各州の裁判所に任せるべきだとした。ケリーの曖昧な態度は穏健な福音派に受け入れられなかった。
 
 また、リベラル派に対するブッシュ大統領の「アメとムチ」戦略がある。愛国法と信仰に基盤を置いた福祉活動支援策である。現在アメリカのイスラーム教徒は、ただイスラーム教徒であるということで厳しい監視下に置かれているが、第二の九・一一を防ぐためには少しぐらいの人権侵害は仕方がないというのが愛国法である。また一方では、教会の行っている福祉活動に対して税金を使う法律をブッシュが作ったが、これによって政府批判をできなくなっている教会もある。このように、ブッシュはアメとムチを使い分けながらリベラルな教会を押さえつけていくのに成功している。
 
  アメリカは、ベトナム戦争から何も学べていない。その結果としてアメリカのグローバル戦略がる。アメリカの価値はイコール世界の価値、自由と民主主義を世界に伝えるのだという自負がある。これに対して、イスラーム世界の反発がある。これはキリスト教に関わる人間にも大きく問われている問題である。
 


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