財団法人 日本クリスチャンアカデミー
   
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機関紙「はなしあい」
 
第475号 2006年6月号
[主な内容]

* 巻頭言 新世代エキュメニズムの模索
  財団評議員 小原 克博

*関西セミナーハウス活動センター
  ●2006年度「第1回生命の意味を問う」
   生命操作は人を幸せにするか

   森岡 正博さん
   2006年4月29日(土)

*関東活動センター
  ●「共助の時代」を創生するために
    〜今日の自殺問題が問いかけるもの〜
   斎藤 友紀雄さん
  2006年4月20日(土)
  
  
*プログラム案内他


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新世代エキュメニズムの模索
小原克博(財団評議員)

 キリスト教は、これからの時代、どのような役割を担っていくことになるのだろうか。私が問いたいのは、現状の延長線上にあるキリスト教の未来像ではなく、むしろ、どのような役割を自ら見いだしていくべきなのか、ということである。ここでは、他の宗教者との「はなしあい」の中で私が経験してきたことを振り返りながら、その問いの一部に答えたいと思う。

 私は学生時代から、仏教をはじめとする日本宗教と比較的多くの接点を持ってきた。それは学問的な関心によるだけでなく、異なる宗教者との出会いが、私にとっては端的に「楽しい」経験であったからである。視野を開かれ、自らを内省する機会は大いなる知的刺激となり、また、立場を越えて育まれる友情を通じて、「信じる」ということの広大な奥深さを、かいま見たのであった。ドイツに留学中には、キリスト教以外の一神教、すなわち、ユダヤ教とイスラームとの出会いもあった。
 奇遇にも、ドイツ滞在中にベルリンの壁の崩壊、東西ドイツの統一を経験した。それから、あっという間に10数年の月日が過ぎて、今日に至っている。若い頃は、知的好奇心をたぎらせた「やんちゃ坊主」のように未知なる世界との出会いや学びを求めた。しかし、まだ若輩者とはいえ、ある程度の大人になった今、これまでの経験を生かして、どのようなイニシアティブを取ることが自らの信仰に誠実な行為となり、また同時に、キリスト教の現代的意義を問いただすことになるのか、と考えるようになった。言うまでもなく、その問いに対する応答は現在進行中であるが、近年の取り組みとその課題を簡単に紹介してみたい。

 研究面では、2000年に仏教の友人たちと共に「宗教倫理学会」を設立した。漠然とした宗教間対話にうんざりしていたこともあって、この学会を、現代社会が抱える具体的な倫理的テーマ(先端医療・環境問題等)を共有し、知恵を寄せ合い、日常的に互いを切磋琢磨する場にしたいと考えた。

 2003年には、同志社大学の「一神教の学際的研究――文明の共存と安全保障の視点から」が、文部科学省の主催する「21世紀COEプログラム」に採択され、年間約7000万円規模の助成を5年間受けることになった。これは世界的に見ても例のない、かなり大胆な一神教研究のプロジェクトである。
 また教育面では、2005年の「京都・宗教系大学院連合」の設立に尽力した。加盟7校の内、キリスト教の同志社以外はすべて仏教系の大学院であるが、そこでキリスト教は仏教間の対話を活性化するための「触媒」の役割を果たしてきたと思う。エキュメニズムという言葉は元来、キリスト教内の教派の違いを超えようとする運動を意味するが、この連合では、キリスト教が媒介となって、仏教間のエキュメニズムが胎動し始めたと言える。
 今、紹介した取り組みは、いずれもまだ小さな一歩を踏み出したに過ぎない。しかし、いずれも次世代を担う若者や若手研究者と深い関わりを持ち、そうした人材を世界的な視野のもとに育てることを目的としている。それぞれの宗教を極めた玄人(権威者)におもねる宗教間対話ではなく、異なる宗教的背景を持つ若者の才気煥発を鼓舞する「やんちゃな」エキュメニズムを、私は長い目をもって育てていきたいと願っている。
(同志社大学神学部教授)


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