財団法人 日本クリスチャンアカデミー
   
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機関紙「はなしあい」
 

第481号 2007年1・2月号

[主な内容]

* 巻頭言 正義、平和、いのちが尊ばれる社会を目指して
  財団理事長 シュペネマン クラウス

*関西セミナーハウス活動センター
  ●もみじまつり
  2006年11月23日(木)

  ●第5回 生命の意味を問う
   『生命の尊厳』の根拠はどこに?
   土井健司さん
  2006年12月16日(土)

関東活動センター
  ●会津マスクワイヤ
   ゴスペルライブ
  2006年11月25日(土)        
                              

*プログラム案内他


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正義、平和、いのちが尊ばれる社会を目指して
シュペネマン クラウス(財団理事長)

 2007年の初頭にあたり、心から新年のご挨拶を申し上げます。昨年中、日本クリスチャンアカデミーに多大のご支授を賜り心から感謝いたします。本年も、どうかご指導、ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
 昨年、日本クリスチャンアカデミーは、改めて日本におけるアカデミー運動の方針をまとめ、アカデミーは「キリスト教の社会に対する奉仕の一つの姿」であり、「社会と人々が持つさまざまな価値の多様性を尊重しながら、正義、平和、いのちが尊ばれる社会の実現を目指す運動である」と宣言しました。しかし、社会や世界の現状を見ると「正義、平和、いのちが尊ばれる社会の実現」は、カフカの小説に登場するような、いくら努力しても入れない、だんだん遠のく空想の国のようになっています。社会が直面している問題はあまりにも多岐にわたり、解決は至難を極める一方、キリスト教は社会から姿を消しつつあります。
 それは日本のアカデミー運動だけの問題ではありません。アカデミー運動が第二次世界大戦直後に始まったドイツでは、キリスト教会員の率は1965年には人口の約95%だったのに対し、現在では65%にまで減少しています。(旧東ドイツ領で27%、旧西ドイツ領で74%)。また、教会の礼拝の平均出席者数は、日本と同様、約35.6名です。「はなしあい」第469号(2005年11月)で当財団の齊藤善久理事は、「10年後日本のキリスト教は存在しうるか」という題で当財団の関東活動センターの過去5年間の調査プロジェクトの結果を発表し、日本の「クリスチャン人口1%論は近い将来0.5%に修正しなければならないかもしれない」と予想しています。
 しかし、組織化された教会に関する統計上の数字は、キリスト教の実際の社会的・文化的影響力を十分反映してしないと思われます。ドイツで教会が政治、社会、またその他の倫理的問題について発表するコメントは、社会に広く注目され、社会的討議に相当な影響を及ぼします。明治時代に日本のキリスト教は、組織化された集団よりも、現代社会の土台である自由と平等の概念の担い手として注目され、日本の近代化に貢献しました。
 ただし、現代社会の特徴は、明治時代と比べると、社会学者が言うように生活領域は高度に「複雑」になり「分化」されています。このような状況で「正義」、「平和」、「いのちの尊重」という理念を社会に適用すると、社会に対して単なる批判的及び拒否的な立場をとる危険があります。19世紀のアメリカの福音主義の宣教師やバルト神学の影響を受けた日本のプロテスタント教会は(アカデミーを含めて)社会に対する抵抗運動となるきらいがあります。「正義、平和、いのちが尊ばれる社会の実現」のために、まず高度な専門性が要求されます。アカデミーは、本来なら、多種多様な専門家とクリスチャンの「出会い」と「話し合い」の場であります。現在、学問の世界、社会や政治界に従事する人の中には、自分の専門分野に立脚して現代社会の趨勢の問題を自覚している多勢の人々がいます。そのほとんどは、クリスチャンではないが、キリスト教から新しいヴィジョンや刺激を期待しております。アカデミーがそのような人々のために「はなしあい」の場を提供できれば、「正義、平和、いのちが尊ばれる社会の実現」に貢献するのはまだ可能でしょう。
(同志社大学文学部教授)

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