財団法人 日本クリスチャンアカデミー
   
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機関紙「はなしあい」
 

第484号 2007年5月号

[主な内容]

巻頭言 あこがれへの回帰
  財団理事・関西運営委員 岡本 知之

*関西セミナーハウス活動センター
  ●2007年度第1回修学院キリスト教セミナー
   「ルターの信仰に学びつつ、光学ガラスの研究開発に生きる」
    2007年4月28日(土

*関東活動センター
  ●今日的課題プログラム
   「アジアの中の日本 〜共生の道を考える〜」
    2007年4月27日(金)

*2007年度事業計画・収支予算

*プログラム案内他

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あこがれへの回帰
財団理事・関西運営委員  岡本 知之

関西セミナーハウスは、私の憧れの場所であった。
最初の出会いは記憶の中に沈んで定かではないが、明確に再生出来るのは、YMCAに奉職して数年を経た頃、まだ若手主事であった時に参加した開発教育協議会のメイン会場としてのそれであった。
そのころ私は地方YMCAにおいて英語教育と開発教育を担当しており、本業(給与の出所)である学校事業よりも、開発教育・平和教育の諸活動の方に遥かに熱心に取り組んでいた(と言うより、そちらの方に生き甲斐を見いだしていたと言うべきか)。
記憶の中のセミナーハウスは、ホールも食堂も現実の倍以上の広さを以て残っている。
記憶の方が大きいと言うことはそれだけインパクトが大きかったと言うことである。
京都の景勝の地に、こんなに立派なキリスト教の施設があるのかと、大きな驚きをもって建物の全体を眺めていたのを思い出す。
今ひとつ、自分の中でセミナーハウスと分かちがたく結びついているのは、中学の時出会った国語の教科書の中の文章である。
光村図書『中学三年・国語』に収載された、高橋三郎氏の「対話的精神」という一文がそれである。
ドイツのゴスナーという青少年ホームでのドイツ青年達の対話的生活を活写したもので、日本人に「はなしあい」の精神に生きることの大切さを説いた名文である(文章の初出は高橋三郎著『ドイツから見た日本』聖燈社刊)。
一読して深く感銘を受け、奥付に著者の来歴を確認したところ「宗教家」と出ていた。
そして大学時代、偶然にも私はこの高橋三郎氏と出会う僥倖に恵まれ、彼を師と仰ぐ生活を始める事になる。
高橋三郎先生は人も知る無教会の独立伝道者で、ドイツのマインツ大学で学位を取り、日本に帰国されてからは、幾つかの大学で教鞭を執りながら、日曜日の集会と個人雑誌「十字架の言」による伝道にいそしんで居られた。
私には、中学時代に知ったドイツのゴスナーホームと日本のセミナーハウスが二重写しの如くに重なりあい、まさに「対話的精神」そのものを具現する場所として、ここが映じていたのである。
私にとって、いまでもこの建物の中を満たしているのは、あの時学んだ「対話的精神」の炎であり、感動である。
クリスチャン・アカデミーは、対話のための具体的なテーマと対話の場とを提供すると共に、自らの心に対話的精神の核を与えられ、その炎を静かに燃やし続けられるような、本物の命との出会いへと、この国の若者を導かなければならないのではないか。
世は相対論ばやりである。自己の信念も確信も、世を統べるべき真理も、すべてが相対論の波の中についえ去り、自他の違いを解消することに汲々とする人間を大量に生み出してきたように思う。
しかし対話は自己と他者とが異なるものであるとの前提から始まるものである。
我と汝の根源的対語関係に生きることと、馴れ合いと溶解の関係に埋没することとは根本的に違うのである。
違いを引き受ける勇気、そしてそこからの対話に生きる精神を育て得るか否か。そこにアカデミーの存在の意義が懸かっている。
希望はある。なぜならこの課題にたいしては、力の大小ではなく、真実の存否のみが問われるからである。   
(日本基督教団西宮教会牧師)


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