財団法人 日本クリスチャンアカデミー
   
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機関紙「はなしあい」
 

第486号 2007年7・8月号

[主な内容]

巻頭言 公益財団法人への発展
  財団理事 島田 恒

*関西セミナーハウス活動センター
  ●2007年度第2回修学院キリスト教セミナー
   「わが心の遍歴と教会史研究」
    2007年6月23日(土
  ●2007年度第2回開発教育セミナー
   「沖縄慰霊の日に考える 〜沖縄・日本・世界〜」
    2007年6月23日(土)〜24日

*2006年度事業報告・収支決算報告

*プログラム案内他

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公益財団法人への発展
財団理事  島田 恒

明治政府により制定された公益法人制度が110年ぶりに改正され、2008年12月より施行予定となった。民法34条によって認可された私たちの財団法人も、新しい制度の下に衣替えをすることに直面している。
 もともと、明治政府は私的活動(例えば企業活動)以外の「公共」領域を、もっぱら政府の管掌事項として定め、政府が認めた活動組織のみを、いわば政府の補完活動として認可する体制をとってきたのである。行政による「公共」領域独占ともいうことができ、公益法人としての社団や財団を設立するためには政府認可が必要条件であった。ここに、権力者としてのパワーが働き、「お上」としての支配が社会に浸透し、その権力をバックとした公益法人に対する天下りのような不祥事も見られるようになってきたのであった。
 社会は本来、「公」は「共」と区別されて「私」の領域と併せて構成されることが健全である。「公」は一律公平な原則に従って、社会の基本的なインフラ(例えば医療、福祉、教育、警察など)として働き、「共」は民間を主たる担い手とする多様できめの細かい働きによって形成される領域である。それは、行政や企業の足りないところを補完するという位置づけではなく、社会が備えるべき本質的領域である。アメリカにピルグリム・ファーザーズが上陸して苛酷な環境のなかで社会形成を始めたとき、最初に機能した領域は、行政でも企業でもなく、非営利組織に属する共同体による「共」の領域であったといわれている。信仰に基づく価値共有と仲間との支え合い
が、人々に勇気と希望を与えてきたのであろう。継承すべきアメリカ精神の原点であるといわれている。
 わが国社会は戦後、経済の回復と発展に傾注し、それを成功させてきた。しかしながら、「あまりにも」経済に重心をおくことによって、「共」の領域である、文化・宗教・哲学や人間の絆の領域を軽視してきた。世界第2位の経済大国を実現し、モノの豊かさを謳歌してきたが、ココロの貧しさがとみに指摘されている。文化や共同を受け持つ「共」の領域の強化こそが、わが国社会に求められている本当の構造改革になる筈である。
 今回の公益法人制度改革を、明治以来の意識と実践の遅れを解消し、新しい社会構造を実現する可能性として注目したい。簡単に設立できる一般財団法人ではなく(問題ある法人が出てくることも予想される)、社会の信頼や税務上の特典が付与される公益財団法人に移行しなければならない。公益財団法人に相応しい財団であるかの認定は、行政判断ではなく、有識者による公益認定等委員会の判断に委ねられることになっている。移行への手続きは専門的手順で推進されることになるであろう。
私たちの財団が、わが国社会の構造改革の一翼を担うものとして「共」の領域形成にも貢献することであることを心したい。それは取りも直さず、私たちの独自の使命(ミッション)を確かめ、それに基づく価値をつくりだし発信することであり、その価値を共有する共同体としての絆を深くすることであろう。幸いにも懸案であった財団の財務問題に展望が開けてきた今、財団の本来の存在意義である活動にしっかりと目を向ける機会である。私たちの財団には、それを成果として実現することが今、使命として求められている。
(京都文教大学人間学部教授)

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