財団法人 日本クリスチャンアカデミー
   
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機関紙「はなしあい」
 

第487号 2007年9月号

[主な内容]

巻頭言 漂流する大学教育
  賛助会員  田中 義信

*関西セミナーハウス活動センター
  ●2007年度第2回はなしあい「生命の意味を問う」
   「新生児の看取りの医療 〜いのちを慈しむ医療を求めて〜」
    2007年7月28日(土)

  ●開発教育セミナー フィールドスタディ
   平井正治さんと歩く「釜ヶ崎の歴史」
    2007年8月25日(土〜26日(日)

*関東活動センター
  ●はなしあいプログラム
   「このとき、歴史に向き合う 〜戦争責任告白をどう生きるか〜」
    2007年8月3日(金)

*プログラム案内他

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漂流する大学教育
賛助会員  田中 義信

高等教育制度は、少数者のエリート教育段階から多数者のマス教育段階へ、さらには万人のユニバーサル教育段階へ移行しているという言説がある。日本では"大学全入時代"を迎え、大学の教育目標を現代の外的・内的環境変化に適応させて再定義し、教育内容・教育方法においても対象者にあわせて改める必要があると説かれている。

このような流れと呼応して中教審は「我が国の高等教育の将来像」と題する答申を二年前に発表した。だが、関心を集めたのは、わずかに大学を次の七類型に機能分化した点に留まった。

(1)世界的研究・教育拠点
(2)高度専門職業人養成
(3)幅広い職業人養成
(4)総合的教養教育
(5)特定の専門的分野の研究   
(6)地域の生涯学習の拠点
(7)社会貢献機能(地域貢献、産学官連携等)

 そもそもこのような枠組みや"個性化"は個別の大学の特色にはなり得ても、現代における「大学とは何か」という本質的な問いの前には無力なものでしかない。何のための大学かが問われないまま機能分化をしていけば、大学はまさしく"味を失った塩"、漂流しか道は残されていない。しかし、残念ながら、現実はその方向をたどっている、と言わざるを得ない。

 たしかに当事者にとっては日常の経営は薄氷を踏む危うさを抱えている。近年の切迫した学生募集環境がその一つ
である。学部学科の急激な改組やカリキュラムの再編で危機を脱しようとする。その結果、ますます自ら高等教育機関としての性格の曖昧さが根底から問われる悪循環を招いてしまう。専門学校と見分けのつかない教育内容を前面に打ち出す大学や、資格取得を売りにするところが受験生をかき集める。規制緩和の結果、出現したのは企業立の大学である。"何でもあり"は大学の足元を深く侵食しているのである。

その一方で、大学は国際競争力のある教育・研究の実現が課せられている。国公私立を問わない。その成果に基づいて文科省の補助金は重点的に配分される仕組みになっているから、資金獲得に大学のサバイバルがかかっている。また、大学には社会的貢献という課題も負わされている。法科大学院の設置など、専門職業人の養成がそれである。

 コンプライアンスの確立や健全なガバナンス、説明責任や情報公開なども含めると、"待ったなし"の改革課題が大学には目白押しであると言うべきである。

このような諸課題に、キリスト教(主義)教育を建学の柱に据える大学はいかに取り組み、その目的・使命を実現していくのか。わたしの関心はこの一点に集中される。

そう考えていた折、アカデミー運動の旗印となるものと、教会の現実を重ね合わせたところで、キリスト教界の"ダ
ボス会議"のような会合が組めないかという島田恒氏の提案に本紙の中で出会った。

課題は、「日本社会とキリスト教」をめぐる、教会やアカデミーだけではない、実際は福祉や教育、文化、市民活動等、社会の隅々で自らを証し続けている人々が日々苦闘している内容を含んでいる。働きびとを支え、勇気を与える会合の企画と印刷物の発行を、アカデミー主導で実現を見ることはできないか。

日本における宣教課題(広義の)を、各活動分野をクロスさせて総合的に、しかも戦略的に議論する会合の開催は、漂流する大学教育にも一石を与えてくれることになろう。
(大阪女学院大学准教授)


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