財団法人 日本クリスチャンアカデミー
   
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機関紙「はなしあい」
 

第488号 2007年10月号

[主な内容]

巻頭言 殻を開く
  財団監事  横野 朝彦

*関西セミナーハウス活動センター
  ●2007年度第3回はなしあい「生命の意味を問う」
   「支え、支えられる生命 共生の文化―CureからCareへ」
    2007年8月10日(金)〜11日(土)

  ●2007年度第1回はなしあい「人生の朝と夕べをいかに生きるか」
   「支えあういのち〜福祉の現場から〜」
    2007年9月7日(金〜8日(土)

*関東活動センター
  ●対話プログラム 「十字架の神学」セミナー
   「イエスとパウロ ―『十字架』で救われるのか」
    2007年9月23日(日)〜24日(月・休)

*プログラム案内他

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殻を開く
財団監事  横野 朝彦

筆者が属する教会では、昨年春に開かれた教会協議会において、「いのちを考える」を年間のテーマにしたいと話し合われ、講演会や特別礼拝が企画された。
夏前に、講演会「こころを聴く」を開催した。講師は橋本明子さんで、お子さんの罹患を機に骨髄バンク立ち上げに奔走され、白血病患者支援等の運動をしておられる。その体験のなかから、傾聴の大切さを語られた。
夏には、聖路加国際病院副院長である細谷亮太さんが「『いのち』について思うこと」と題して講演された。芭蕉の句などを引用し、「死について考えることはいのちを考えること」であると、多くの症例をとおして語られた。
冬には、キリスト教神学者の立場から、代々木上原教会の牧師、村上伸さんに講師を依頼した。讃美歌を書いている詩人ヨハン・クレッパーは、ユダヤ人である妻が強制収用所に入れられる直前に妻とともに自死した。この話が紹介され、深い問いが投げかけられた。
今年度に入り、「いのちを考える」を継続して主題とすることが決められた。そして夏の終わりに、埼玉医科大学教授である大西秀樹さんに「がん医療における心のケア」と題して講演をいただいた。精神科医として、初めて癌患者に出会ったときのこと、家族の苦しみを知ったこと、その後「遺族外来」をはじめられた経緯などが語られ、患者や家族の心と寄りそってこられた体験を語られた。
自分の属する教会の働きを紹介させていただいたが、過日この働きをあるところで話したとき、思いがけない反応があった。それは、先の講師の二人がキリスト者ではないことを、否定的に受け止められたのだった。
このような反応が返ってくるのは、教会の現実を表しているのだろう。キリスト者でない人の話では「伝道」にならないということだろうか。あるいは、キリスト者であるというただそのひとことで、共通する価値観があるとの思い込みであろうか。
講演ばかりではない。筆者の教会では年に二回チャペルコンサートを開催しているが、演奏者がキリスト者であるかどうか問うたことはない。キリスト者であったのはおそらく数えるほどであろう。これについても、あるかたに不思議な顔をされた。それは「ただの音楽会」であって、教会のするわざではないと思われたようだ。
日本クリスチャンアカデミーの活動は、教会をバックグラウンドとして持っている。このことを抜きにしての働きはあり得ない。しかし、バックグラウンドとしての教会が、固い殻のなかに閉じこもり、非キリスト者の話を聞くことさえ拒んでいる現実があると思われる。
 そればかりか、キリスト教界のなかにあってさえ、自分たちの教派信条を絶対化し、信条の異なる者に対し、殻を閉じている様子が見られる。
以上の問題を考えたとき、わたしたちに託せられたひとつの課題は、教会そのものが自らを閉ざしている殻を、開いていく努力であると気づかされる。
そしてそれは、説得や打破することではなく、なによりも自らが、殻を脱ぎ去り、傷つくことを恐れず、「はなしあい」によって目指すしかない。クリスチャンアカデミーが、「はなしあい」の土俵となるとともに、殻を開くオープナーとなることはできないだろうか。 
(日本基督教団番町教会牧師)


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