財団法人 日本クリスチャンアカデミー
  
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機関紙「はなしあい」
 

第491号 2008年1・2月号


[主な内容]


巻頭言:他者のための教会 ― 理事長 シュペネマン・クラウス

 

*関西セミナーハウス活動センター

   ●2007年度第6回開発教育セミナー
       「支えあい聴きあう人間関係づくりPartU」

   ●第25回幼保セミナー
       「幼児教育を問う」


   ●第37回ファンタジーグループ研修会
       「
イメージの創造活動による自己発見


*ごあいさつ

*プログラム案内 他

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他者のための教会
理事長 シュペネマン・クラウス

  2008年の年頭にあたり、心から新春のご挨拶を申し上げます。昨年中、日本クリスチャン・アカデミーに多大のご支援を頂き心より感謝いたします。本年も同様、ご指導、ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
私は38年前に来日し、最初の8年間は関西セミナーハウスの主事及び所長代行として従事いたしました。その際、驚いたことは、日本クリスチャン・アカデミーが教会とはほとんど関係がなかったことです。本来なら、アカデミーは、組織として独立していても、教会の社会への奉仕の姿であり、教会の祈りに支えられているとドイツで聞き及んでいたからです。そのことについて当時、関西セミナーハウスの責任者と話し合ったときに、日本の教会は閉鎖的であり、社会には関心がないと言われました。しかし、「閉鎖的」という言葉は、「他者を中に入れない」態度を意味します。この言葉は、社会学が組織化の程度の弱いグループの傾向に特徴づけるためによく使いますが、伝道を行う教会は閉鎖的であってはならないと思います。もし教会が社会に関心がないとするならば、それは閉鎖的であるからではなく、教会の本質に関する理解が根本的に間違っているからです。
 ディートリッヒ・ボンへッファーは 『抵抗と信従』 の中で教会を「他者のための教会」と呼んでいます。「教会は、他者のための教会としてのみ教会である」 と彼は言っています。「他者のための教会」は一方で伝道を行い、神の福音を述べ伝えています。これは、パウロの言葉でいうと、人間は 「自分の業にではなく、信仰によってのみ義とされる」という福音です。神の恩寵による人間の救済を、ボンへッファーは 「究極のもの」 と呼んでいます。しかし、プロテスタント教会は、救済に重点を置いて、人間の日常生活を罪の観点から否定的に見る傾向があります。ボンへッファーによれば「自然な生活」は、「究極以前のもの」 として固有な意味と 「自己目的性」を持っています。それは、神は人間を創造しただけではなく、神は人間になったことによって人間の 「自然な生活」をあるがままで承認したからです。健康、滋養、居住、休養、遊戯などは、一語でいえば、人間の幸福は「究極以前のもの」として神から人間に与えられた権利です。この権利を保護するのは 「他者のための教会」 の義務と責任です。そこにボンへッファー自身と彼が影響を受けた告白教会のナチズムに対する抵抗の根拠がありました。
 ドイツのプロテスタント教会は、宗教改革後、国家との厳密な関係を持って、ナチズムの発生に反対しなかったばかりではなく、それに貢献したとよく言われています。それを反省したドイツの教会は戦後、「他者のための教会」 の一つの姿としてアカデミーを設立しました。その歴史を背景にしてアカデミー運動の三つの特徴を説明できます。 第一には、アカデミーは、「日本クリスチャン・アカデミーの理念」 で纏めたように「キリスト教の社会に対する奉仕の一つの姿」 です。言い換えれば、教会との関係のないアカデミーには存在理由がありません。
 第二には、アカデミーが目指す 「正義、平和、いのちが尊ばれる社会」 は、哲学及び倫理学の理念ではなく、神が人間のために目指す社会です。
 第三には、「はなしあい」 は倫理的判断のために最も重要な方法ではありますが、倫理的には中立ではありません。アカデミーには明確な立場がある。それが神に愛されている人間と人間の権利の追求です。   (同志社大学文学部教授)

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